2022年6月13日月曜日

井の頭公園 北村西望アトリエを訪れて

 工芸科の授業の一環で

井の頭公園に取材遠足に行ってきました。


井の頭公園は井の頭池を中心に

自然文化園、動物園

ジブリ美術館などの施設も充実しています。

今回はその中でも

長崎平和祈念像で有名な

北村西望彫刻館を訪れてみました。


まずは
アトリエの大きさに驚きました。
これが個人のアトリエとは・・・
アトリエの外観です。
室内の空間
巨大な
加藤清正像が小さく見えます。

それもそのはず
このアトリエは
9m70㎝の長崎平和祈念像を制作するための
アトリエだったのです。


中には
長崎平和祈念像のためのマケットが
何点も展示されています。

「石膏直付け法」という
北村西望独自の製法で制作するための
マケットが多数残っています。
木型心棒のマケット

雛形原型の一つ

石膏原型の一つ
奥の壁に掛かっているレリーフは
使用済みの木型を再利用して作った作品です。

頭部のマケット


この「石膏直付け法」だと
最初の粘土原型とその型取りの工程が
省略され時間も予算も節約できるとのことです。

言われればその通りなのですが
10メートル近くの巨大な像を
粘土でなく
石膏で直に形を決めていくのは
かなり難易度の高い制作法だと思います。

作っては離れて
確認しては
また像に登って作る
これを幾度となく繰り返して制作されたようです。


制作に使われた道具たち
石膏を削るための鑿や金槌が多いです。


別棟の展示館には
実物の型取りに使われた
石膏原型が展示されていました。

見下ろしたり
見上げたり
近づくこともできます。
長崎では見られないアングルですね。


そのほか
小品や初期の作品も
多数見ることができ
北村西望の彫刻人生を
直に感じることができます。





家族・親族の肖像彫刻
一番奥が北村西望自身の像です。


井の頭公園は
何度も行ったことはありましたが
北村西望彫刻館は初めての訪問でした。
一人の人間が作り出した
『時間と空間』が凝縮された
感じ応えのある場所でした。

吉祥寺に行った折には
是非
立ち寄ってみてください。































2022年6月5日日曜日

拡大細密描写

 実際のモチーフを拡大して

細密に描写する課題です。

ご覧のとおり
かなりの拡大率です。
通常の平面構成での観察と描写では
到底画面は持ちません。

モチーフは
人工物
食べ物
身の回りのものなら
なんでもアリです。


みんな
集中して丹念に描写しています。
もちろん
近目の細かい描写だけだなく
遠目の見え方も同時に
表現していきます。


かなりの数の優秀作品が出ました!
その中の一部です。




人間の
観察する力と
表現する力には
限界は無いと言います。

様々な課題を体験しながら
自分の
「観察」
「表現」
を引き出す力を
鍛えていきましょう!




















2022年5月30日月曜日

西山寛紀 展 "NECESSARY"

今回は 

イラストレーターの西山寛紀さんの個展に

行ってきました。

工芸の作家だけでなく
他のジャンルの作品を見ることで
様々な刺激を受けます。

西山さんはイラストレーターとして
ポスター
ブックカバーデザイン
作品集
Tシャツ等のグッズ
など
多彩な活動をおこなっています。


普段の生活の中での
何気ない
"NECESSARY"
をテーマの展示です。
選ばれた
色彩とライン

日常のさりげない動作が作者の目によって
美しい映画の一コマのように
切り取られ
演出されています。
色数は決して多くはなく、むしろ
厳選されることによって
世界観がストレートに伝わり
心に沁みてきます。
大きめの作品は
全てが手描きです!

アクリル絵具を用いて
丁寧に丁寧に塗りを積み重ねています!


工芸とは別のジャンルですが
"日常の観察"
"色づかい"
"線の選び"
"手仕事のこだわり"
すべてが参考になります!

ジャンルやカテゴリーに捉われずに
さまざまな良いものに
触れていきたいですね。

小さめの作品は印刷ですが
RGB印刷でのこだわりの色味です。


グッズの販売も。
イラストが立体になっています。




作家さんです。
気軽に撮影に応じていただき
ありがとうございました。
















2022年5月25日水曜日

平面構成 エスキースデモスト

 夜間部授業では

平面構成の

エスキースレクチャーを行いました。


平面構成のエスキースでは
「課題文の把握」
「モチーフの観察」
「アイデア出し」
「構成や空間の設定決め」
「スケッチ」
「色の確認」
など
様々な事柄をチェックしながら
最終決定をし
本番の下書きに移っていきます。

今回は
3人の講師陣に制作して頂きました。

早速
一人の講師のエスキースの流れを
見せてもらいましょう。

まずは
ラフなアイデアスケッチです。
思いつくまま
いくつか出してもらいました。
この段階での画面の大きさは
B3の16/1程度です。
出したアイデアを
ブラッシュアップしながら
B3の1/4のサイズで下書きしていきます。
下書きしながら
どのアイデアで制作するか
決めていきます。
右下の画面にしました。
下書きを終えたら
着色していきます。


エスキースなので
描写の深追いはしません。

画面全体の
光の方向、強さ
前後関係
色味
などを
絵の具を使うことで
より的確な確認ができます。
影の落ち方も
大事なポイントです!

このように
ここまで色も使って
画面の完成のイメージが掴めれば
あとは
時間の中で作業するだけです。
効率よく
描写の仕事が出来そうですね。

制作風景
モチーフを終始手から離しません!

他の
デモスト作品


毎回ここまでエスキースするのは
無理かもしれませんが
時間のない時や
構成のリメイク時など
B3画面で制作できない時に
このように小さい画面で
着色して確認することは
とても有効だと思います。

ぜひ
お試しください!!



*お知らせ*
6月1日から
夏季講習会の受付が始まります。
すいどーばたの授業を体験してみてください!






















2022年5月18日水曜日

公開 入試再現デモスト!

 昨年度の芸大工芸科の構成課題は

傾向に変化が見られました

対応に苦心した学生さんも多かったと思います。

そこで

昨年度の芸大工芸科合格者に

構成課題の再現デモを行なってもらいました。

今後の対策のためにも

実際にどのような作品が通過しているかを

確認することが必須です。

今回は
できるだけ多くの合格作品に触れ
各自の指針を探ってもらうため
すいどーばたでない他予備校の方々に
ご協力いただきました!
色彩構成 6名
立体構成 4名
総勢10名のデモストです。

制作は公開形式で
制作のペース、表現方法などの
制作過程も目の当たりにしてもらいました。




作品に対する個人個人の解釈が
幅広く
頭の柔らかさを感じます。

進める手順や
技法も
人それぞれで
とても個性的です。

傾向が変わった中でも
きちんと課題を解釈し
身につけた自分の表現や技法を
作品に昇華させることができた人が
合格に到達したのだと
痛感させられます。


デモスト終了後に
合格者の再現の振り返り
受験時代の話
体験談を聞かせていただきました。


10名のデモストの方々
ありがとうございました!

受験生のみなさんにとって
「芸大合格者」
「合格作品」
「合格作品の制作過程」
に直に触れられる
とても良い機会だったと思います。



お昼休み中には
工芸科主任の田代先生による
芸大入試レクチャーが開催されました。
現教授の世代の入試課題から
現在の入試課題を
実際の合格者作品を時代順に見比べ
最近の入試傾向を紐解きました。

昨年度までの入試課題の変化を
とてもわかりやすく
解説してくれました。


これからの
入試の傾向と対策に
役立てて行ってください!!



6月5日(日)
藝大工芸科のオンライン説明会が行われます。
こちらも忘れずに申し込み
さらに
工芸科入試に必要な情報を集めましょう。




























2022年5月10日火曜日

展覧会情報 藤田政利 個展

 2022年5月6日(金)〜5月15日(日)

東京妙案ギャラリーにて

藤田政利さんの個展が開催されています。


芸大工芸科で鍛金を専攻し
鉄の素材をたたいて加工した作品を
作り続けてきた方です。

ラッコ
カモノハシ
など
可愛らしい動物がならびます!

カモノハシ
拡大

この作品は
ゆらゆらと揺れます
水面を
漂っているかのようです

どの作品も
カタチやしぐさ
動き
どこをとっても愛らしいです。

誰が見ても可愛らしいモチーフを
可愛らしい作品にすることは
とても難しいことだと
思います。

「素材の魅力を引き出しながら
必要以上に
素材を観者に意識させないこと」

「その素材の魅力を引き出すための
確実な技術力」

「モチーフの魅力に過度に惑わされない
冷静なデッサン力」

これらを
兼ね備えている
稀有な作家さんだと思います。

普段使われている道具も
飾られていました。
道具も
美しいですね!


ポストカード
ポストカード立ても鉄製です


その他
今回はスケッチも展示されていました。


ぜひ
本物の立体作品を
味わってください!!